eモードで広がるGaN FETアプリケーション

パワーGaN FETはNexperiaが2019年末に650Vのカスコード・デバイスを初めてリリースして以来、普及が進んでいます。実際、Straits Researchによると、パワーGaN FETの市場規模は2021年時点で1億7,820万米ドル、2030年には約28億米ドルに上昇すると予想されています。Nexperiaでは650Vのカスコード製品に高電圧(650V)と低電圧(100/150V)のeモード(エンハンスメント・モード)デバイスを追加し、設計者が最適な効率と電力密度を選択できるようにしています。

GaNテクノロジは電力変換トポロジにおいて最高の性能を発揮し、要求の厳しい産業オートメーション、サーバー、コンピューティング、通信インフラストラクチャの広範なアプリケーションにおいてその価値が実証されています。その結果、GaNは特殊技術と見なされることが少なくなり、主流のアプリケーションに採用されることが多くなりました。その理由としては、あらゆるワイドバンドギャップ(WBG)半導体材料の中でもGaNが低電力と高電力の両アプリケーションにおいて、効率、遷移/スイッチング能力(dv/dtとdi/dt)が最高水準にあることが挙げられます。NexperiaではUSB Power Delivery(USB-PD)Extended Power Range(EPR)モードを搭載した48Vシステムがeモード・デバイスの商用化によって普及するにつれて、この移行が加速すると予想しています。

電力と効率に新たな進展

Nexperiaのカスコード・デバイスは堅牢で高電力の650Vアプリケーションにターゲットを絞っています。その一方で、eモードGaN FETは低電力の650Vアプリケーションにも、高電力の100/150Vアプリケーションにも適しています。それが可能なのは非eモード技術に固有の優位点があるためです。まず、これらのシングル・ダイ・ソリューションはゲート電荷(Qg)と出力電荷(QOSS)、RDS(on)値が非常に低いため、スイッチング能力に秀でています。

NexperiaのカスコードGAN FETとeモードGAN FETは異なるアプリケーションをターゲットにしている
NexperiaのカスコードGAN FETとeモードGAN FETは異なるアプリケーションをターゲットにしている

"そのため、Nexperia e-mode GaN FETは幅広い電力変換アプリケーションに理想的なソリューションです。AC/DCとDC/DC変換における柔軟性に優れ、高速で低ノイズの電源の効率が向上します。そういった特徴は産業用オートメーション設備からテレビ用電源装置(PSU)まで、あらゆる用途において優位点となります。また、太陽光発電(PV)マイクロインバータ、e-モビリティ用急速充電器/アダプタ、USB-C電源供給においても、NexperiaのeモードGaN FETスイッチング性能は大きな効果を発揮します。

eモードGaN FETは電源だけでなく、性能とBoM(部品表)においても優位点があります。高照度出力の照明設備用LEDドライバや、高トルク、高出力のBLDC/マイクロ・サーボモーターの実現にも大きく貢献しています。低ノイズ性能と小さなフットプリントという特長を持っているため、自動車以外のLiDARアプリケーションやクラスDオーディオ増幅で真価を発揮します。"
 

適切なフットプリント

eモードGaN FETの対象アプリケーションの多くはスペースに厳しい制約があります。そのため、最もコンパクトかつ最高の電力効率という2つの要件を満たすパッケージを選択する必要があります。650Vの低消費電力アプリケーションにおいては標準的な5×6mmと8×8mmのフットプリントのデュアル・フラット・ノーリード(DFN)パッケージを採用しました。低電圧、高出力デバイスにおいては150Vデバイスとして2.2mm×3.2mmのFlip Chip Land Gid Array(FCLGA)を、100Vデバイスとして3.5mm×2.13mmのウェハ・レベルCSP(WLCSP)を採用しました。

Nexperia e-mode GaN FETは、さまざまなSMDパッケージで提供されています。
Nexperia e-mode GaN FETは、さまざまなSMDパッケージで提供されています。

NexperiaのeモードGaNポートフォリオと全製品の詳細についてはnexperia.com/gan-fetsをご覧ください。